響の灯光(ヒビキノトモシビ)

八月の末日、本厚木のヨガスタジオアルモニにて、「響の灯光」がおこなわれた。ポスターにはほとんど何も書いていないが、実はこれ、柚楽弥衣の創作したプロジェクト第一回だった。

柚楽弥衣は2015年頃から「歌う千日回峰行」と名付け、アカペラかつ即興で歌って録音し、それをネットで配信していた。目標の千日を完遂したが、途中でルールを変更したこともあり、結局1,200曲弱のアカペラ即興歌が誕生した。

その録音された歌曲集を、一つ一つ聞き直し、曲の雰囲気やインスピレーションによるつながりを感じて、いくつかのテーマによって選曲した。同様にして今回のイベント用に特別に制作したプレイリストを流し、その場がどんな場になるのか実験した。

来場した人々は柚楽によって歌われる、録音された Cosmic Chant (アカペラ即興歌を柚楽はこのように名付けた) を聞きながら、静まっていくものだと思われた。ところが、そうではなかった。

Cosmic Chant は、人々に創作性を与えるようだ。会場に集まった人々は、面識のあるないに関わらず会話を始める。自己紹介を始める、楽しそうに仲良くなり、Cosmic Chant はBGMになる。

「あれ? 聞きに来たんじゃないの?」と思いながら、まわりを観察した。

ひとびとは楽しそうにそれぞれの話をしたり、踊ったり、工作をしたりしていた。

それぞれに勝手なことをして過ごす時間がしばらく過ぎると、アムリタ朝子がすっと立って舞い始める。そのときに聞こえてきた Cosmic Chant に合わせて。まるで申し合わせていたかのようだ。だけど、そんな約束はなかった。向こう側が透けて見える薄布を妖艶に漂わせながら、ゆったりとした水の流れのように舞った。それは命の源へと感性を誘い込むような深遠な舞だった。

次に立ったのは春佳さんだった。春佳さんはスーフィーの神秘的な舞踊として知られる旋回舞踊を始めた。マドンナの「Bedtime Story」のMVにも登場する、旋回しつづける舞踊。旋回しつつ腕を広げたり、固有のポーズをとっていくと、それはまるで大地から這い出る植物が螺旋を描いて伸びてくるようだった。

二人の舞踊で場が整うと、次には殺陣師で俳優の福田ひろし(福和倭迅会)さんが殺陣の演舞を披露してくださいました。

抜刀して、見えない相手との間合いを感じて動き、威嚇しつつ和合して、納刀する。その一連の動きを Cosmic Chant に響き合わせて披露くださいました。Cosmic Chant に包まれた場に、生死をかけた戦いの雰囲気が降りてきました。するとその雰囲気を中和するかのように、十歳くらいの女の子が会場の真ん中に出てきました。

体操を習っているというSちゃんです。Sちゃんは横転や蜻蛉返りを何度か披露して拍手を浴びて下がりました。

Cosmic Chant は、心の中にある創作性を引き出すようです。

このイベントは各地で続きます。次回は以下のように予定されています。

15名で満席です。早めの予約がいいでしょう。

どの回の「響きの灯光」にもその会のために特別に作ったプレイリストが存在します。それを前回は寄付してくださったかたにORコードにてお配りしました。常盤蔵ではライブ演奏なので、どうするかを検討中です。